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祖父の「聞こえない」を、アプリで変えたい

西村 陸筑波大学 情報学群 3年 字幕アプリ「サンプルキャプション(サンプル)」開発者

FILE No.
S003
分野
研究・開発
公開日
2026.11.17
聞き手
早稲田大学 文化構想学部 2年 小林

会話をその場で文字にして、話し手ごとに色分けして表示する。耳が聞こえにくくなった祖父のために作り始めたアプリは、いまでは約3,000人に使われている。研究と開発を両立させる日々と、ユーザーの声に救われた経験を聞いた。

Q1いまいま挑戦していること

スマートフォンで会話を聞き取って、リアルタイムで字幕にするアプリを開発しています。誰が話しているかを色で分けて表示するのが特徴です。

大人数の食事の席で、聞こえにくい人が会話から取り残されないようにしたい。研究室では、音声認識の精度を上げる研究も並行して進めています。

Q2きっかけ挑戦を始めた理由

お正月の親戚の集まりで、祖父がずっと黙って笑っているのに気づきました。聞くと、話が聞き取れないから相づちを打っているだけだと。

その日の夜から作り始めました。最初の試作品は、一人の声しか字幕にできない簡単なものでしたが、祖父が初めて会話に入ってきてくれたんです。

Q3壁ぶつかった壁と、乗り越え方

アプリを公開した翌日、レビューに厳しい声が並びました。字幕が遅い、話者を間違える。期待してくれた人ほど、がっかりさせてしまった。

落ち込みましたが、レビューを書いてくれた人に一人ずつ連絡して、使っている場面を聞かせてもらいました。その声をもとに直した版から、評価が変わりました。

— 西村 陸(筑波大学 情報学群)
Q4学び挑戦から得たもの

研究室で精度を上げることばかり考えていましたが、使う人にとって大事なのは、精度より遅れないことでした。机の上では分からないことです。

指導教員からは、研究は誰のためにあるのかを忘れるなと言われ続けています。使う人の隣で考える。それがいちばんの学びです。

Q5これから卒業後と、その先

次は、病院や役所の窓口で使える版をつくりたいと考えています。大事な説明ほど、聞き取れないと困るからです。

大学院に進んで研究を続けながら、アプリは小さな会社として続けていくつもりです。技術で、誰かの「参加できない」を一つずつ減らしたいです。

経営者からの質問

取材に先立ち、経営者から集めた質問に答えてもらいました。

株式会社サンプルリンク(サンプル) 代表取締役CEO 結城 蒼

Q. 研究と開発の時間は、どう分けていますか?

平日は研究、週末と夜はアプリと決めています。ただ、ユーザーの声が研究のヒントになることも多いので、完全には分けていません。行き来することで両方が良くなっています。

株式会社サンプルファーム(サンプル) 代表取締役 藤原 湊

Q. 厳しいレビューに、どう向き合いましたか?

最初は読むのがつらかったです。でも、厳しいレビューは期待の裏返しだと思うようにしました。一人ずつ話を聞くと、ほとんどの人が応援してくれていました。

Q6メッセージ一歩目を迷っている同世代へ

何を作ればいいか分からないときは、身近な一人の困りごとから始めるといいと思います。僕にとっては祖父でした。

一人のために本気で作ったものは、同じように困っている誰かにも届きます。完璧じゃなくていいので、まず出してみてください。

PROFILE

西村 陸 Riku Nishimura

2005年茨城県生まれ。耳が聞こえにくくなった祖父のために、大学1年で字幕アプリの開発を始める。2026年にアプリを公開し、利用者は約3,000人。研究室では音声認識の研究に取り組んでいる。

大学・学部
筑波大学 情報学群
学年
3年
活動・所属
字幕アプリ「サンプルキャプション(サンプル)」開発者
関連URL
https://example.com/

取材・文:早稲田大学 文化構想学部 2年 小林(UNIQUE MONSTERS)/ 取材日 2026.10.25

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